01.あまやか |
硝子の皿に盛られた熟れた果実 萌黄色の頬をあかく染めて 爛れて腐り落ちる寸前のかおり |
02.欲望 |
私の心の奥底には眠った欲望があります 私はその欲に薄々気づいていますが 気づいてはいけないものなのかもしれません なぜって私が私の欲を認めると それでも湿った欲望は |
03.稚い |
おさないものはかわいらしい
ちいさな 手 まことにかわいらしいはずなのに 幼かった頃の私にはなかったものを |
04.万華鏡 |
カラカラカラカラ 風車がまわる ザザザザザザ クルクルクルクル 眩暈をおぼえるような |
05.搖蕩う |
なまぬるいプールのなかに
ぷかりと浮いた白い躰 いきているの? ううん、 わたし最初から生きてなんかいなかった なまぬるいプールのなかに 白いボウルがひとつ |