11.篝火

鳳笙の音は空高く響き
澄み渡る夜の空に御霊(みたま)はやすらぐ

古代の太鼓の音は地を震撼とさせ
その振動にあわせて
今日も篝火がしずかに燃ゆる

 

12.血脈

この躯のなかをめぐる
ほそいほそい血潮の
脈打つ音を目を閉じて聞く――

どくんとも

とくんとも

言わない

ただ脈づいている
たしかに流れている
生命の神秘

 

13.上気

つめたい木枯らしに煽られて
ほおを赤くしたまま
学校から帰る子供たち

りんごのようなほおを見るたびに
寒さを思い出しては
背中がまるくなる思いだ

 

14.しどけない

生成りのシーツの上に寝転がって
ひたすら惰眠を貪るさまよ
太陽の光をあびて時折躰をまるめては
きゅっとシーツを掴む手に力が籠る
寝乱れたパジャマとおひさまのかおり
あともう少し寝ておこう

 

15.人肌

あまりあたためないで

砂糖もいれないで

ヴァニラを一滴だけいれて

 

人肌のホットミルク