(02)名前

 私には名前がある。もちろん花南という名前ではない。
  HNが「花南」という名前になったのは、台湾の老師に姓名判断をしてもらったときに「今すぐ改名しなさい」と言われたからで、さすがに本名の改名は簡単にできないため、HNを改名した。
  そんなに私の名前はヤバイのかと思わずにはいられなかった。

 私の本名はしつこいくらい意味が重複している。
  漢字で読むと、「天と地を繋ぐ者」という意味になる。
  ホツマという日本の古代の言葉で読んでも「天と地を繋ぐ者」という意味になる。
  数秘術やカバラで読むと「霊界と現世を繋ぐ者」という意味になる。
  マヤの暦で読むと「天と地の柱」という意味になる。
  他にもあったかもしれないが、もう忘れた。ともかく私は天と地を繋ぐという意味に縁が深い名前だ。

 これだけ意味が重複しているとなんだか世界的使命でも帯びて生れてきたんじゃあないかなんて、勝手に空想をするわけだが、どう考えたって「天の剣と地の盾を探して世界を滅ぼそうとする魔王と戦うのです」と神様っぽい何かに言われたとしても、私はきっと夢だと思って寝て終わるだろう。

 言霊には意味があると思う。だけど名前に意味があると考えたことはあまりない。
  自分と相手だけだったら、相手のことを「君」と言えばすむだけの話。三人以上人が存在するとき、便宜上誰を差しているのかわかるようについたのが名前だと思っている。
  だから私が「花南」と呼ばれようが、昔のHNの「わさび」と呼ばれようが、別にどっちでもかまわない。わさびと花南では、人の持つイメージは違うと思うが、別段それで私の本質が変わるわけではない。

 まあそんな私でも、親が私にポチョムキンとか、エリザベスとかつけなかったことだけは感謝している。
  ポチョムキンさんとエリザベスさんには申し訳ないが、どっちの名前も私には向かないと思うのだ。