(05)学生

 昔から、遊ぶために学生をやっているという感覚がわからない。
  私にとって学校や大学は勉強するために通う場所だし、薬剤師になった友達たちも、SEになった友達たちも、今現在大学に通っている友達たちも、必死で勉強していた。
  むしろ一番真面目に勉強していないのは私だと思う。それでもこつこつ、二日か三日に一度くらいは何かについて勉強している。
  私は勉強が嫌いな人の心理が理解できない人間の典型だと思う。勉強することが楽しくて楽しくて仕方がない。勉強は「覚えなきゃ!」とやるわけでなければ、とても楽しいものだと思う。

 そんな私にとって、学生というのは自分の輝ける勉強真っ盛りの時期であって、できることなら一生学生でいたいと思っていたくらいだ。
  しかし、人によっては学生時代にいい思い出のない人もいるようで、そういう人たちは学校から解放されてからのほうがのびのびとしている。
  妹たちに学生時代の思い出を聞くと、驚くくらいネガティブなことに気づく。
  私もいやな思い出がなかったわけではないが、いい思い出のほうをいっぱい覚えている。
  別に私がよくて、あっちが悪いとか、そういう単純な話ではないと思うのだ。
  ダメダメな教師は本当に駄目だったけれども、恩師だと思える先生をたくさんあげられる。友達には恵まれたし、部活も楽しかった。家庭事情は配慮してもらえたし、テストもまあ、酷い点数といっても進学できないほどではなかった。

 私にとって、学校は勉強しに行くところだったが、それ以上に色々な恩恵もあったと思う。
  特に高校は私にとって最高の場所だった。
  身分証的に「学生」と書くことがなくても、私は一生をとおして常に何か勉強しているだろう。
  そういう意味では一生学生なのだと思う。