(09)恋人

 恋人って食べられるの? 美味しいかしら?
  食いしん坊な私は本当に恋人を食すのではないかということが心配される。昆虫の世界でも雌が雄を食べることがあるそうだ。注意めされよ、男性陣。
  私の恋愛遍歴なんてたいしたものがない上に、大して面白いものもないため、もうちょっとネタになりそうなことを考えてみようと思う。

 昔中学生時代からの悪友と20代の始めに「脳内恋人に50の質問」だったかという質問をやったことがある。自分の脳内に恋人がいると仮定して、その恋人に50問答えさせるというものだ。
  実際に脳内に恋人なんざいなくてもそのときつい捏造しちゃったわけなのだが、それが妙に夢がいっぱい詰まっていて面白かった。好きな音楽はジムノペディとか、月に一度は禅に出かけるとか、資格は何を持っているかと聞かれて茶道の半頭ができると言いはじめたり、当時の私はこういう男が好みだったのか、と思って笑ってしまった。しかし今でもそんな男がいるものならお近づきになりたいものだわと思うのである。夢見がちなのは今も変わらない。

 さて、家に転がっている心理学の本で「30日で理想のパートナーが見つかる法」というものがある。
  これは別に理想の恋人を捕まえるための心理操作の本ではなく、自分の中の欺瞞を取り除いて本当に必要なパートナーはどんな姿なのかを見出すという本なのだが、チャック=スペザーノの本を勉強していたときにこれもやってみたのだ。
  私はそれまで会話のウィットに富んでいて、多少意地悪なことも茶化して言えるようなスマートな男が好きなのだとばかり思っていた。しかしその本の最後に至った結論は、無口かもしれないけれども真面目な男だったりしたのだ。これにはびっくりした。そういう男が必要だったのか、と目から鱗だった。
  そのあとにこの脳内恋人の質問群を見つけたものだから、上記の男は間違いなく無口だろうけど真面目な男に違いないと信じる私であった。

 何度も言おう。私は夢見がちだ。
  そうして今年も彼氏のいない歴を更新するのであった。