06ナキガラ

死んでしまえば亡骸が存在するのは私だけど、そう
塵も残さず消えれるならば
それがいいに違いないと思っていた。

ただそれは私の中の理想でしかなく
横たわるナキガラは
死体ではなく私の精神

 

07天の涯(はて)

地球の面積がないように
天の涯ても存在しない

私にとっての天の涯は
私がのぼりつめたその先――

 

08せめて、ひとつきりの

せめて、ひとつきりの

具体的なものでなくてもいい

 

安息
求めているもの

 

09Calling you.

知っておりますか?

私はあなたの知らないところで
ずっとその名前を呼んでいるんです

なぜ直接呼ばないかといえば
あまりにあなたが疲れているように見えるからで

なぜこちらのほうを向いてくれないのかと怒鳴らないかといえば
あまりにあなたが張り詰めた緊張の中で生きているかがわかるからで

ではなぜ私が心中であなたのことを呼び続けるかといえば
あまりに私が、つまるところあなたの言葉を欲しているからです

箱庭に逃避した人を現実の世界で私が呼びます
「呼んでくれれば助けれたのに」
そう言う人はたくさんいるんです。
口に出して呼ばなければそれは言ってないも同じ。
だけど私は心の中だけであなたを呼びます。

壊れる前に気づいてくれればと思いながら
もう壊れているかもしれないこの私の世界

 

10メランコリー

メリーゴーランドとよく似ている気がする

ぐるぐると同じ場所を回って
自分で止まることも抜け出すこともできないあたりが。

ぐるぐる回る言葉は
消えてなくなれとか
死んでしまえとか
馬鹿馬鹿しいとか

でも私が表現できるのは言葉だけだから
拙くても全然馬鹿馬鹿しくない。

投げつけるだけから
表現するに変わるまで

何度も消して書いて
消して消して消して書いて

そうして文字に埋もれてわからなくなるか
真っ白な紙になって終わる。