11ひかり

そんな名前の女の子を知っている。

その子はきっともう
ひとりで歩ける

残されたのは松葉杖だったり
私だったり

 

12この胸に巣食う希望を

どうかこの胸に巣食う希望を
私が忘れてしまわないように

潰しても潰しても
癌細胞のように
しぶとくしぶとく

私を巣食って広がって

 

やがては救ってください

 

13迷路

それはきっと広大に広がる果てしないものではなく
掌に乗っかるくらいの小さな箱のようなものじゃないかと思う

それはきっと進んでは行き止まりがあるものでなく
軽く一歩踏み出せばその先が展開していくようなもの

箱の内側にはまた箱があり
箱の外側にもまた箱がある

箱の中は上下前後左右に同じような箱が連なり
ひとつ移動すると同じようなつくりが広がっている
そんな連続連続の集合体

だけどつまるところ天境線の果てまで広がる平原と
この小さな迷路の差なんてたいしたものではない

歩かなければ始まらないし
歩いたところで変わらない
止まったところで休めばいいし
退きたいところで始めにもどればいい

 

゛届かない゛

カーテンにあともうちょっとってところで
背ガトドカナイヨ。

隣から妹が来て
あっさり届いたよ。

私が届かなくて妹が届くもの
未来だったり、
夢だったり、
時にカーテンだったり

 

15もう二度と

もう二度と会わないだろう人
もう二度と話さないだろう人

世界には会ったことも話したこともない人が
まだたくさんいるのに

私は過去の人をおもい縋りついたまま