21蜃気楼

あれは蜃気楼だ!
私の求めているものではない!!

そう思って時恃(じじ)なる道を進み続けて約3年
私のオアシスへはたどり着けずまだ歩いている

これこそが蜃気楼なり

 

22立ち枯れ

私の育てていた朝顔は
花も種も残さず
ある日気がついたら立ち枯れておりました

花も種も残さず
ある日気がついたら立ち枯れておりました

新学期が始まって
見事に育った朝顔を持って
子供たちが学校へ戻ってまいります

やがてはその朝顔のように
見事に育った子供たちが
大人になって社会へ旅立ちます

私は朝顔に水をやるのを忘れていたわけではありません
ただ私の丹念に与えていた水は
朝顔の根を潤すことなく土を通り抜け

また私自身に撒かれた水も
私の渇きを癒すことなくただ流れただけだったのです

 

23還らぬひと

誰ひとりとて
変わらぬことはない

誰ひとりとて
還ることはない

ただ変わらぬものは
彼女の後姿だけで

ただ還らぬものは
彼女の歩いた道のり

 

24ココニイテ

私がいつも無理矢理ものわかりの良い人のように
二つ返事でイッテラッシャイと言えるのは
強がりなだけでしかありません

そうして私自身に最終的に必要なのは
伴侶でも恋人でも友人でも医者でもなく
ただ己の中に信仰と強い意志とを持つことだと
そう必要なのは、信仰と意思であると
そう信じこませようとするのは
慰めでしかありません

しかしながら私がココニイテと切に願うのは
外側の何かや、また誰かではなく
己の中に見出した神であり
それこそが宇宙の大いなる意思と、
己の中に静かに息づく自我のつながりであり、

私はそれゆえに導かれここにいると
神は今まさに我輩の中にいると信じることこそが
それさえあれば私は救われるのです

それさえあれば
私は無理矢理ものわかりの良いふりもせず
笑顔でイッテラッシャイと言えて

それさえあれば
私にとって大切な誰かに
心からココニイテと言えるのです

 

25十字架

一人目は十字架と翼

二人目は十字架と剣

私の中に刻まれた十字架と何か