36Sing-Song

世界のどこかで誰かが歌っている

最後のひとりになるまで

 

37たとえば消えゆく雪のように

たとえば消えゆく雪のように
ひかえめだったならば
見苦しくもなかったろうに

たとえば消えゆく雪のように
土にすぐ還るならば
もうちょっと地球環境によかったろうに

たとえば消えゆく雪のように
またいつかは雨となり雪となりこの地に降りてくると思えたならば
たとえば消えゆく雪のように
私より先に散っていった雪のような人たちを
名残惜しむこともしなかったろう

 

38堕天

天はとうの昔に崩れ落ちているのかもしれない

残ったのは空と月と太陽

どこまでも空が広がっているだけで
太陽と月があくる日も下がって上がるだけだと思えば

終末に怯えることもあるまい

 

39誓い

たとえば誰か
将来私と誓いを立てる人が現れるとして
その上その誓いを破る日がくるとして

誓いなんてもっと大きい、
使い古されているけれど普遍的な
愛とかいう言葉の前には小さなものだから

そう考えるとたいていは
許せそうな
なんとなく優しい気分にひたれる

 

40未完成交響曲

未完成の交響曲にタイトルがつけれないように
未完成な人生に感想はつけれない

ただここから先は
できるだけあかるい音楽にしていければと思う