ニケの旅 03

ニケと李猫とニコルは出会い。一緒に旅にでることになった。
ニケはファイターで姉のルネを探す旅、李猫はグラップラーでグラップラーレベルを極める旅、ニコルは旅に誘われて二人について行くことになった。
それぞれ旅の目的がある。しかし今日も平和だった。

「だから、次の街はトルメキアを目指してジャナッツに行くんだ!!」
ニケはキッと眉を上げながら李猫にくいかかる。
「嫌さ。」
どきっぱりと李猫が顔を振る。
ニケがイライラしながら問い詰める。
「なんで?」
「ジャナッツ方面行くの嫌さ。あそこ悪い冒険者がいるさ、賊もでるさ」
「賊はどこでも出るだろ!!」
ニケは納得行かない理由に語調強めて、なんてヘタレなやつなんだと李猫をせめる。李猫はその場にうずくまって。
「ジャナッツ方面行くの諦めるまで、ここに座り込んで泣いてやる」
「子供か!!お前いくつだよ、あぁ?」
ニコルは溜息ついた、早速パーティー解散しそうな雰囲気である。
どうするか悩み二人の仲裁にはいる。
「落ち着いてくださいよ二人共。李猫さん、しっかりしてください。」
「ただ単に賊が怖いわけじゃないだろ、何かあったのかこのビビリ!!」
「師匠に捨てられ途方にくれてた俺っちを詐欺の兄ちゃんが「一緒に旅しよう」と迫ってきて、森に入ったら襲われたさ。もうあそこ行きたくないさ」
「はぁーん!!!?」
ニケが呆れたような声で呻く。
ニコルは眉を八にして、李猫に同情する。
「なんだか大変な目にあったんですね…ニケさんここは別の街に行きましょう」
「なんと、こいつのわがままで目的地を買えないといけねーんだ、この野郎。く、ヘタレ!!」
「ヘタレで結構さ」
「ニコル地図見ましょう、地図」
李猫の横に座り、ニコルは地図を取り出して広げた。
ニケも屈んで地図を見た。
「今いるのが僕の村から離れたこのあたりです。もう少しで名無し村になります」
「そこはもう調べた。「ナイトメア来たー!!」とか騒がれた。気に食わねぇ、そこは無視して通るぞ」
「……え?村で宿泊しないの?もう少しで夜さよ?」
「野宿でいいだろそんなの」
「僕テント持ってますけど、食料の買い足しとかいろいろと買いたいのでニケさんだけ外で待っていてください」
ニケが「はいはい」と言って名無し村のずっと向こうのコミル湖の街を指さした。
「ここはもう探した。収穫なし。行かない」
「はい、分かりました。大きな湖ですね、どうでした眺め?」
「でかい水たまり」
ニケのそっけない即答にニコルはがっくりと項垂れた。もっと素敵な事教えてくれるかと思ったからだ。
ニケは続けて指で街を刺してく。
「俺は十件村方面を抜けて、マーガレット、エスタミル、ザレンを回って名無し、コミル、ニモを旅した。どこも外れだったがな」
「ニモ僕の村ですね」
李猫が口を開いて。
「だとすると、川の街ユーベールに行ってないさ。ユーベール行こう。あ、あと、サマサの村も行ってないさ?」
サマサは森に囲まれたエルフが住む村だと李猫は言う。
ニケは少し機嫌を悪くしたように二人には見えた。
「あそこはいい、サマサにはいないだろう。きっと」
「ふーん、わかったさ。とりあえず、ユーベールに行くさ。ユーベールはいいお酒置いてるきっと」
「いや、どうだっていい」
「聞き込みするんですよね?僕も手伝いますよ〜」
「ああ、ありがとう」
「あ、ついでに俺っちの故郷についても聞いてみるさ」
「ん?お前故郷を聞くって知らないのか?」
ニケが質問して李猫を見る。ニコルも釣られて李猫の姿を見てみる。
変わった服装をしていて、どこかの民族衣装みたいだった。少なくてもこの土地のものではない。と言った感じだ。
「そういえば、李猫さん変わった服して変わった名前ですよね?」
李猫は困った顔して。
「この服は師匠が作ってくれた服さ。あと、俺っち6歳以降の記憶ないさ。気がついたら師匠と旅してた」
「はー、記憶喪失?」
「わかんないさ。師匠何も言わないから。」
うーんと悩んだ顔して。
「とりあえず、行く場所は決まったさ。そっち行こう」
「ま、ユーベールについたら聞いてまわろうか。」
ニケが腰を上げて、歩き出した。
ニコルも地図をたたんであるきだす。
李猫も駄々こねるのやめて立ち上がってあとをついて来た。
ニケの歩くスピードが早く、ニコルは小走りで歩いた。
李猫もすこし歩幅を広げたが、ニケはどんどん歩いて行ってしまう。
「あいつ、ナイトメアので嫌われてるんじゃんくて。そので性格が厄招いてるさ」
「うーん、ナイトメアはいろいろと難しいと聴きます。複雑なんでしょうね」
夜が深まり森をぬけて、やっとニケはスピードを落として二人を待っていた
ニコルと李猫が追いついた時、ニケがひとこと「遅い」と言った。
しゅんとしたニコルに李猫がやれやれと言った感じで。
「ニケが早いだけさ」
「いや、お前等、夜の森の恐ろしさ知らねーのか。動物や蛮族が活発化する時間帯だろうが!!」
どうやらニケは夜になるまえに見渡せる比較的に明るくなる草原にでたかったらしい。
「最初っらかそういうさ!!何事かと思ったさ!!」
「俺はいつもこのスピードだが、若干速度は落としたんだからな」
早すぎる、と思ったが仲間割れになりたくないので李猫はそれ以上突っ込まなかった。
(コミニケーション下手すぎるさ)
ニケは二人を見て。
「歩き通しで疲れたなら、ここで野宿するか?それとも歩いて村で休みたいか?夜道危険だと思うが」
「俺っち疲れたより酒が飲みたいさ」
「僕は休んでもいいですよ?テント持ってきてます」
「準備がいいさ、さすがニコル。いい子。できる子さ」
「そうか、テントか、じゃ張ろうか?」
ニケとニコルがテントを立ててるあいだ李猫は近くの小枝を拾って火を起こしていた。
火打石で火をつけて、「アチっ!」といいながら火はチラチラと燃え始めた。
「お腹空いたさー」
「あ、僕ちょっと狩りに行ってきますね!!」
ニコルは自分の弓矢を持って立ち上がった。
「こんな暗いのに狩りができるのか?大丈夫か逸れるぞ?」
「大丈夫です。行ってきますね〜」
そう言ってニコルは向こうに歩いてって姿を消した。
ニケが剣を持って「やっぱついていく」と言って李猫を置いて行ってしまった。
「うう、俺っち独りさ」
空腹なのを我慢して、李猫は寝そべって空を見上げた。
一面、星が輝いている。李猫は昔から空に浮いてる雲や星が何かの形に見えてくることがあった。特に星は美味しそうに見えた、なんか甘いお菓子みたいのを想像して遊んでいたこともある。
「星綺麗さ。星って食べたらどんな味するのかな?」
そんなこといってたら。
向こうのほうで悲鳴が聞こえた。李猫はばっと瞬間的に飛び起きて、悲鳴がどっちから聞こえたか見渡した。ニコルたちが歩いてきた方向からだったが、その声は二人に当てはまらなかった。
「今のは女性の声だったな…」
李猫は近くにあった薪の火の付いた枝先を持ち、声のする方に向かって歩いていった。

向こうのほうで動く影が3つ。
一人がこっちの明かりに気がついて歩いてきた、グラスランナーだとすぐにわかった。
「なんだ、ニコルか?」
「李猫さん、明かり持ってきてくれたんですか?ありがとうございます」
「いやいや、悲鳴が聞こえてさ」
「女の方みたいです。怪我がないか見ますから火かしてください」
「怪我?」
ニコルがなんか焦って顔を背ける。
火を持って遠くの二人の影に近寄るとニケと娘が座っている。
娘は脚を抑えながら。
「触らないで頂戴!」
「だから、怪我したんだろうが!見せろ」
「やめてよ、脚なんだから!この変態!捲らないで!!」
「落ち着け、怪我の手当てを見るだけだし、俺は女だ」
「嘘おっしゃい!このムッツリスケベ!どう考えても声男じゃない!!」
李猫は何事かと火を近づけた。
「どうしたさ?」
火は二人を照らした。どうやら怪我をしてるみいだった。
ニケは布を裂きながら。
「ニコルのやつ、獲物と間違えてこの女を打ったんだ」
「ひでーさ、ニコル。女の人狙うなんて」
どうみても、食べれそうな動物には見えない。李猫がニコルを野蛮人見るような目で、汗をたらりとながした。半分冗談だが、当たったんだから笑えない。
「違うんです!物音にびっくりして誤射したんです!!」
ニコルは必死にいう。狩りの経験がないわけじゃないが。ニコルはぷるぷると顔をふった。
「まったく、なんで私がこんな目に会わないといけないの?」
娘はニケにいやいや治療されながら。
「傷はかすり傷だった、よかったな深くなくて。立てるか?」
娘は自分でたとうとしたが、ヨロめいた。
ニケが仕方なさそうに体を屈めて「おぶってやる」と言った。
娘は仕方なくニケにおぶってもらい。
4人は野宿してる方向に歩いていった。

「あなた、ひょっとして、ナイトメア?」
娘はおぶられてる途中頭の上にあるニケの角を発見したらしくハッとする。
「そうだが…」
「…おろしなさい。」
「断る。ついてからだ、その下ろすは」
「しかたないわね、おぶられてあげる……」
はいはい。ニケはたぶんこの女はナイトメア嫌いなのだろうと思ったが、そういう言われは慣れていた。
昔、似たようなことがあり、おぶってやると村娘に言ったら「ナイトメアのあんたなんかにおぶられたくないわ!」と言われたことがあった。だがニケはさっさとおぶってババァのところまで連れていき傷の手当をしてもらったが。
そんな事を思い出してると、後ろで娘が「ヴァン」と言っていている。
「なんだ?何か言ったか?」
「うんうん。昔あんたみたいなナイトメアの男の子にこうやって背負ってもらったことがあるだけよ」
「はーん、ヴァンというのか?そいつ?」
「そうよ、と言ってももう村にはいないわ。その子村出たし」
「懐かしいのか?」
「思い出しただけ!」
「あっそう」
ニケはそういや、ナイトメアの男でヴァンという男にあったことがあるのを思い出したが、あえてあったことがあるとは言わなかった。「その時どうしてた?」とか聞かれたら、気まずいので。
(あいつ、名無し村の出身だったんだな)

野宿してる場所に付いて、娘を下ろした。
「結局、ご飯は見つけれなかったさ」
と、李猫が腹を撫でた。
「お腹空いたさ」
「それ所じゃ無くなっちゃって、すみません」
ニコルがもじもじといいなが。今夜はご飯無しだなと覚悟した。
ニケが娘をおろして、薪の近くに座らせる。
娘は脚を抱えながら、火に当たって、皆の様子を窺う。ニケをもう一回見て
「あなた、よく見たら。この前村に来てたナイトメア?」
「…ああ。お前の村は名無し村なら、なんでこんなとこにいる?」
「……いいでしょ。べつに、星見てただけよ」
「嘘だろ。空見あげれば星は村でも見れる」
「なんか言えない事情かあるのか?」
李猫がニコっと笑って。
「家出?」
「うるさいわね」
「図星か…」
「なんでこんな何でもないとこに家出するのさ?」
「道に迷ったのよ。私、ユーベール目指してて…」
口ごもる娘にニケと李猫がため息漏らす。
「へー。」
「真反対ですね?」
ニコルが突っ込んだ。
「理由聞いていい?俺っち李猫」
「俺は…ニケ」
「ニコルです」
名乗れば心開きやすいかと思い聞いてみた。
「アンナ。私、コミル湖の貴族に「お嫁さんにしたい」と言われて…両親は大賛成して私を嫁がせようとしたんだけど…」
「ああ、嫌だと?」
「好きな人いる?」
「違うわよ!いないわよ!!貴族の相手がおっさんで!!」
「あーはいはい」
必死に言うアンナだったが、ニケはなんとなく、先程ヴァンと呟いていたので、そいつの事が好きだったんじゃないかとかってな推測をした。
ニコルが女の人は大変なんだなと言った感じで。
「大変ですね…だから家出を?」
「ええ。でも道から外れちゃって」
どこを間違えたら道を見失うのだろうか?
「おまえ、一端家に帰って、結婚はしないから断ってくれとか言えないのか?」
「そんなこといったって。私みたいな村娘、貴族の前じゃ簡単にねじ伏せられちゃうわよ。きっとお金とかいっぱい両親に渡すわ」
「救いがないな」
ニケはそう呟いた。
「あの、よかったら僕達ユー…」
そういいかけて李猫がニコルの口を塞ぐ。
「なんでもないさ!」
「……」
「……」
アンナはじとーと此方を見て来て。語調強く。
「連れていきなさい!!」
「だめさ!」
「俺は…それは…」
ニケは迷った。
「連れてってあげてもいいじゃないですか?ダメなんですか?好きな人と結ばれたいですよ、普通」
ニコルが李猫の手をどけて喋る。
「ダメさ。それ、俺っち達が連れてったら誘拐扱いさ!!」
「なによ、私自分の意志ででてきたんだから!!それにこんな怪我させて!責任とって!!」
「図々しいやつさ、ニコルのお馬鹿さん!!」
矛先はニコルに向けられた。
ニコルが「すみません!!」と謝るが。
「ま、それはそうと、両親は探してるだろうな…なんせ、大金が逃げたようなもんだ」
「大金…ま、そう言われてもしかたないわね。私お金じゃないけど!お願い、捕まらないように逃がして!!」
「それは依頼か?」
「もちろん、ただ働きよ」
「……断る。俺等冒険者はただでは働かない」
ニケが冷たく突き放すように言った。くっと食い下がるアンナは手をぐーにして意気込む、思いっきりニケ達を睨みつけ。
「私を連れて行かないと乱暴されたって言ってやる!!」
「えええええ?」
「はぁあああ?」
「そんなー!」
どうやらとんでもないお荷物ができたようだ。
その日、皆は同じテントで寝泊まりした。

次の日、早朝に起きた李猫はトイレしに離れた草むらに立った。
「はー。……お腹空いたさ…あのアンナって娘に寝てる時蹴られたさ…」
「ああ、あれはアンナの足だったのか?」
「そうさ、多分ニケの脚じゃないさ………わああああああ!!」
用を足してた李猫は隣にいつの間にか立ってるニケに驚いた、だが用をいきなり止めること出来ず、横にはねのけただけだった。
「なんだ?汚ねぇな」
「用を足してるぐらいわかるだろ?なんさいきなり!!」
「動揺しすぎだ」
「用足てる時に異性に見つかれば誰だって動揺するさ!!ニケはデリケートなことすっ飛ばすさ!!」
「どうでもいい、おまえのあれが見られたどうのなんて。それよりどうする?あのアンナって女」
ニケはそのままなにごともなかったように話す。
李猫は早めに終わらせて隠す。
「そんなこといわれても。脅されてるんだから面倒にならないように置いて逃げるか連れていくかするさ。」
「置いて行くならもちろん、村の近くに置いてこうぜ?」
方向音痴くさいから、そのまま置いてけぼりしたら、確実にあの娘は路頭に迷うだろう。
「置いていく方向でいいのか?」
「ううん。連れていってもその両親が冒険者に「うちの娘を探してくれ」といわれたら、同じ事さ。もし一緒にいた事バレた誘拐犯扱いさ」
「…そこどうするかだな…」
「村の近くに近づいたらさすがにアンナも気づくさよ?」
「ダッシュで逃げるしかねーな。ニコルに言っておけ、あの女を置いて行くと…」
ニケが李猫に耳打ちしてると、後ろから。
「やっぱり、私のこと置いていく気だったのね!!」
「最低ですよ、二人共!!」
二人から飛んでくる野次。
ニケ達はヒソヒソ話してたつもりだったが、隠れて話してたわけじゃないので、聞かれたらしい。
ニコルは悪魔でアンナの味方だった。二人を非難する目で見てくる。
「なんだ、聞いてたのか?」
「なんでもないさ」
「私、あんた達にぴったりついていくんだからね!それと、昨日いた場所に戻らないと、私の荷物!!」
そう言ってアンナはニコルを人質に荷物をとりに戻った。
「とんでもない女だな」
「うう、面倒さ…」
唖然とするしかない状況だった。なんて気の強い女だとおもった。
どうやら逃げれそうにもなかった。

ニケ達は名無し村を通らないルートを通ってキュドラ街道に出た。ここは色んな街に行く大きな街道である。
「ここの道をあっちにいけば名無し村さ。」
「じゃ、反対の道ね!」
ニケはもう諦めていた、この女はどうせついてくる。李猫はなんとかアンナを村に置いて行きたかったが、結局ここまで来てしまった。
「そういえば、ユーベールには宛あるんですか?」
「そんなのないわ。でも私働いてお家買いたいわ」
「ああ、そう。頑張れ」
働く意志があれば受け入れてくれるだろう、アンナはニコルにピッタリ張り付いて歩く。
ニケと李猫が先頭を歩いて、道をたらたらと歩いていると。向こうから人影が見えた。
「人だな」
「なんか、農具もってるね?干し草を運ぶ棒の…」
「なんか、物騒なものも持っているが…」
「あれは…隠れましょう!!」
アンナが道から出ようとしたときにはもう既に男達がこっちにむかって走ってきていた。
村人の格好をしていた。3人は合点が行った。
「見つかったみたいですね…どうしましょう」
「やったさ、突き出すさ」
「いや、なんかすごい剣幕だぞ?」
男達とアンナの両親だろうか、すごい形相で4人を取り囲んだ。
「あんた達家のアンナをどうしようってんだい?」
「アンナ、こっちに来なさい」
「嫌!!」
アンナはとっさにニケにしがみついた。
「いやいや、アンナさんご両親さん?アンナさんはちゃんと家に帰るさ」
李猫がつかさず、アンナを締め出そうとアンナの肩を捕まえて突き出そうとする。
「李猫さん、あなた自分のことしか考えてないでしょう!!アンナさん嫌がってるじゃないですか?」
「だからといってもな…アンナ、ちゃんと両親に言え」
今にも農具で刺してきそうな感じなのでニケはこれ以上困らせるなとアンナをなだめて、和解に持って行こうとした。
が。
アンナは顔を左右に振って。
「私、この人達と行く!あの貴族の人とは結婚しないわ!!」
「何言ってるのアンナ!あんないい縁談そうそうないよ?若いうちが花なんだ、結婚すればあんなも幸せになれるよ?」
「はん、どうだか…それはあんたの勝手な考えだろう」
ニケがそういうと、村人が声を荒上げる。
「黙れこの誘拐犯!!」
やはり誘拐犯扱いらしい。
「さ、此方に来るんだアンナ」
「お母さんたち私のことちっとも考えてない!私、この人と幸せになるの!もう契もしちゃった後なんだから」
「だそうだ、李猫」
「いや、………あんたのことさ多分ニケ…」
「は?」
ニケは顔を顰めた。汗をたらりと流しつつ。少し呻いたが、このアンナの意思を尊重してやったほうが溜めなのかもしれない。自分がもし同じように不服の婚約とか立てられたら、自分も逃げるかもしれないと同情して。
本当はこのアンナにいいように利用されてるのはなんとも悔しい事だったが。
「そうだ、もう俺達は愛し合ってるんだ」
「…そうさ、この二人らラブラブさ。これはアンナさんが決めたことさ」
「そうですよ、アンナさんの為ですよ」
もう自棄っぱちで李猫とニコルも臨場する。
両親は困惑した顔して。
「そんな、あんたそいつナイトメアじゅないかい?」
「そういえば、お前、ヴァンとも仲が良かったな…好きなのか?ナイトメアが!?」
「私が好きなのはナイトメアだけよ!!」
ニケはなんとも複雑な気持ちをしながら。
「もう、ナイトメアと出来て傷物になった娘を高貴なお方がお気に召すか怪しいもんだと思うが?逆に怒られるんじゃないのか?ふしだらな女だと。娘さんを不幸にしたくないならこのまま俺達を行かせて欲しい」
母親はどっと、その場にへたり込んで
「なんてことだい。アンナがこんなやつと…」
「く……私達も娘の為を思っている。アンナ、お前がそんな男と付き合いたいなら、もうどこにでも好きに生きなさい。もう、村には帰ってくるんじゃんい勘当だ」
「有難う、お父さん。二人共元気でね、私、この人と幸せになる」
「と、言うことだ、娘さんは俺が幸せにする。行こうか、アンナ」
そう言って、ニケはアンナの手を引いて、村人を押しのけて進んだ。後を李猫とニコルが「すみませんでした」と言ってすり抜けてく。

暫く歩いて完璧に村人達の姿が消えた所で二人はぱっと手をいっせいに離した。
「きめー!!俺は女だと言っただろうが!!」
「うるさいわね!あんたとなんか願い下げなんだから!!」
「当たり前だ、このわがまま娘!!」
「あーはいはい、ひゅーひゅーあついあつい。おめでとうさお二人さん」
「ニケさん格好よかったです」
「黙れ!」
ぎゃーぎゃーと騒ぎながらひととり真っ赤になったアンナと喧嘩して。
4人はまたキュドラ街道を街ユーベールへと向かった。