危険なお友達たち02
「うちのカミさんに手を出すな」
サシャはいつになく真剣な表情をしていた。
対するロビーノもいきなり誤解されて襲われたことで機嫌が悪い。
「知らないな。アリスロッサを殺したのはお前か?」
「は?」
サシャも素っ頓狂な声を上げる。
「えーと……ロビーノも?」
「ということはサシャも恋人を狙われたクチか」
先に銃をおろしたのはサシャだった。
ロビーノもそれならばとトランプカードを首元から離す。
サシャが犯人でないとしたら……ロビーノの脳裏にはシャルルが浮かんだ。
「ということはシャルルが犯人? いや、あいつだったら直接俺たちを殺しにくるだろうし」
「シャルルも恋人を殺されてるかもしれないよ?」
サシャは銃をすでに懐に仕舞い直している。
頭の中でシャルルの行動を、恋人が殺されてるときと殺されてない場合とで軽くシミュレートしてみる。
「となると、俺たちのほうから連絡とったほうがいいな。電話だと出ない可能性が高いし、メールだったら確認くらいするだろう」
「なんて書くつもり? シャルルが警戒するような内容は書かないでよ?」
「アリスロッサが殺されて、ステラが狙われた。お前に恋人がいるなら気をつけろって書いておく」
ロビーノはメールを送信し終えると、携帯をコートのポケットに仕舞いなおした。
「さて、誰が犯人だろうな」
「またまた。おおかた見当はついてるでしょ」
サシャはすでにシャルルが犯人だとは思ってないようだ。
「俺じゃなく、サシャじゃなく、シャルルじゃないとしたら……あいつぐらいしか思いつかないな」
ロビーノはいつもねちっこくロビーノに因縁をつけてくる男の名前を呟く。
「燕【イェン】だ……」