ほんとうに、ほんとうに、ほんとうに恥ずかしい大人で申し訳ないのだけれども、僕はアスセナを想像の中で何度か抱くことを妄想しました。
あの黒い髪からはスピアンレス製のシャンプーの匂いがするんじゃあないだろうかとか、肌はきっとすべっすべなんだろうなとか、そんなことを考えながら何度も白い虚しさをティッシュの上に吐き出していました。
彼女が入隊したのは去年の春だった。
真新しい赤い制服に、金色のプレート。それはエリート奨学生だった証なんだ。彼女は国立学院からトップの成績でエリート銃士として就任した。
凛々しい横顔、すました目、通った鼻、ぷっくりとした唇。
全部好きだけれども、やっぱりあの綺麗な黒髪が一番好きだった。
訓練のあとに僕に配ってくれたタオルをいつまでも捨てることができずに僕はいまだに使っています。もうぼろ雑巾のようになっているから捨てろよとみんなに笑われても、君が僕にくれた最初で最後のものだから。
目が覚めたとき、暗いベッドの中で僕は寝返りをうった。そしたらお向かいにラーラがいたんだ。
容姿だけならば、僕の大切なアセスナに本当にそっくり。性格もそんなに悪い子じゃあなさそうだし、僕は案外彼女とうまくやっていけるんじゃあないかと思った。
だけどね……たとえラーラが僕のものになったとしても、僕は君のことを、アスセナのことを愛していたんだ。
ねえ、アスセナ。
君はどんなふうに喋ったんだろう、
君はどんなふうに笑ったんだろう、
君はどんなふうに怒るのか、
君はどんなふうに拗ねるのか、
まったく君のことを知らないまま、君は僕の届かぬ存在になってしまった。
そしてかわりに、僕はラーラを手にいれた。
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ああそうさ!
君を手にいれることなんて不可能だ。だから僕は代用品で我慢したフリをしたのさ。
僕は君に触れたかったんだ。
よこしまな気持ちなんて一切抜きに、君を抱きたいと思っていたよ。
だって僕は君が好きだったんだもの。
だけどどうだろう、いざ代用品が手に入ったのに、僕は性処理の道具としてラーラを使うことができなかった。
僕の意気地無し。
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