もう伝説のようになっている少年の頃から
私を動かし喜ばしたことのあるものを、
考えたことや、夢みたことや
祈りや、求愛や、嘆きなどにちなむ
たまゆらな、色とりどりの落ち穂を、残らず
あなたはこのページの数々に見出します。
それが好ましいものか、無益なものかは、
あまりむきになって問わないことにしましょう――
やさしく受け入れてください、この古い歌を!
私たち、年とったものにとっては
過ぎ去ったものの中にたたずむことは許されており、慰めにもなります。
この幾千行の詩句の背後には
一つの命が花咲いているのです。かつてそれは甘美だったのです。
こんなつまらないものにかまけたことを
追求されたとしても、私たちは、
今夜飛んだ飛行士よりも、
血にまみれた痛ましい大軍よりも、
この世界の偉大な支配者たちよりも、
かるがると自分の荷物を背負っているのでしょう。
「ヘルマン・ヘッセ この詩集を持った友に」より
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