「宇宙人も笑ったりするのかな? 時々泣いたりするのかな?」というCMを見た。
なんとなくじんわりするものを感じながら、悲しいときにめそりと泣いちゃう宇宙人を想像してみた。
グレイ風に想像すると目がでかすぎた。火星人風に想像すると涙をぬぐう手が多すぎた。
なぜドラマチックなものを想像できないのだ、自分。
いつかそういうシュールさのない、宇宙人が泣くお話とか書いてみたいかもしれない。
ただそれをリアルに表現するためには、宇宙人に会って取材をしなければならない。
宇宙船に入ると宇宙人は「あらやだ、散らかっているけど」と言って宇宙食を出す。
そうして彼女の仕事の愚痴や恋人ののろけ話を聞かせてもらう。
宇宙人が女性だと感じたのは、なんとなく男性だという気がしないという私の偏見だ。
取材を終えて帰るときには「地球に来て花南ちゃんと会えてよかったわ。10000000000000000000000000000000000000000000000000000000年後に会いましょう」とぎゅっとハグをしてくれる。
宇宙船を見送ったあと、私はもう次はないことを知ってちょっと残念に感じる。
いい宇宙人だった。彼氏と幸せに暮らしてほしいと願い、ほんのりと銀河の果てで涙ぐむ。
もう会えないんだと思って悲しくなったからだ。
ところがその宇宙人、文明の利器でワープしてきて「忘れ物、忘れ物」と現れるではないか。
涙も引っ込むというものである。
そんなちょっと宇宙人が泣くことがあるのか取材をして、自分が涙ぐむとかいうネタをちょっぴり考えたあと、宇宙人が笑ったり泣いたりするところを見るためには、まず宇宙人と友達にならなきゃいけないと思った。
そんな人情味あふれる宇宙人を想像したあとに、はたと
「宇宙人に表情筋があるのだろうか」
という本当ナンセンスな疑問がわいてくるところもあるので要注意だ。
宇宙人だってきっと、泣いたり笑ったりするだろう。
私たちだって、泣いたり笑ったり、自由にしていいと思う。 |