可愛いおばあちゃんになりたい

 私は可愛いおばあちゃんになりたい。
  無理だよって言われるかもしれないけど、茶目っ気あるおばあちゃんを目指すのだ。
  思春期は大人が泣きたくなるほどの嫌な子供だった。二十代はちょっと変な大人もどきだ。
  まあ思春期は今さら変えようがないので、アンファンテリブル固定でいいだろう。残りの二十代はスルメのように噛めば味のある人間になりたい。
  三十代は人生を楽しんでいる人、四十代〜五十代になったら酸いも甘いも熟知した親世代。そして六十代を目安に、茶目っ気のあるおばあちゃんになりたい。
  そんな人生計画を今さら立ててみる。

 そういえば高校生のときに保健体育のライフステージ(人生設計)の授業では、私は「三十代で過労死」と書いていた。その隣で別の男子高校生は「三十代で十六歳の少女と結婚」と書いた。
  杓子定規で頭が筋肉な先生に、どちらも再提出を食らった。
  私は「四十代で過労死」と書き、隣のあんちゃんは「三十代で十八歳の少女と結婚」と書きなおした。
  先生は呆れて、OKを出してくれた。
  私は高校生のとき、先生によって無理矢理寿命を十年延ばされてしまったのだ。

 さて、あと十年以上生きられる人生設計だが、茶目っ気のある可愛いおばあちゃんになれるまでは生きられるのだろうか。
  今のところのんびりした人生だから、きっと四十代になっても死んでいないことを祈る。