Mさんと帰り道をちんたら歩いていたら、途中Mさんが気持ち悪くなって「なんだか久しぶりに帰った田舎で気持ち悪くなったときのような気分だ」と言った。
それがどんなシチュエーションなのか聞いてみたところ、以下のような話を聞かされた。
#1
俺はお盆休みに久しぶりに田舎に帰った。
「○○くん久しぶりー。私も今日帰ってきたばかりなんだよ」
「へえそうなんだ」
道端で会った子と話していると、急に悪寒に襲われた。
「うっ」
「どうしたの?」
彼女はなんともないようだ。俺だけか? 今とても気持ち悪い錯覚に襲われたのは。
「お盆の間ずっと昔流行った伝染病でうなされてさ、お盆が終わったあとけろりと治ったんだよね」
「それ絶対憑かれていたよ」
「なんか知らない女と話している最中にいきなり悪寒に襲われて」
「それきっと生きてないよ」
***
M「みたいな展開のときに、感じる悪寒だ」
花南「きっと今の物語全部聞かないとどんな悪寒かわからないと思うけれども。なんかひぐらしみたいなホラーを想像したのにただの熱かい」
M「俺のホラーノベルのレベルは三流以下だ」
***
#2
「すげぇんだぜ! ご先祖様がナスにまたがって帰ってきたんだ」
「へえ……」
「およそ牛や馬には見えなかった。お前のお盆はどうだった?」
「普通に家で過ごした(こいつどんなお盆過ごしているんだろう)」
***
M「みたいなお盆もありだな」
花南「本当どんなお盆をその男の子は過ごしているわけ?」
M「もうちょっとお盆から離れてみようかな」
***
#3
うちの冷蔵庫には電気が通っていない。かわりに幽霊が住んでいる。
中にビールを入れると冷やしてくれるのだが、ちょっぴり怖い。
そして酒が心なしか不味く感じる。きっと仏壇に酒をおそなえするのと同じ原理で酒が不味くなっているのだと思う。
普段不自由はしていないが、ひとつだけ困ることがある。“彼女”はキリンビール以外のビールを冷やしてくれないのだ。
***
M「友達に話すと『お前そのとき酔っ払っていただろ』って言われるだけだな」
花南「そうだろうね」
M「俺は今酔っ払ってないからな」
グレープフルーツジュースで酔っ払うということはないと思うが、あっさりこれだけ話を思いつくことがすごいと思った。私には真似できないことだ。
割とすぐに物語を思いつくほうだけど、10分間にこれだけ色々は思いつかない。
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