プレトリウスという国があった。
縦に長いその国は北のほうが寒く、南のほうが暖かい。かつての戦争でたくさんの植民地を手に入れたその国は、近隣でも強国として知られていた。
ルーベルト=シュトックハウゼンはそんな国で伯爵の息子として生れ落ちた。
容姿にも才能にも恵まれた彼は自信家で、遊び人で、策士で、そして愛される領主でもあった。
これはそんな彼とその周囲、そして彼の人生を変えたシャルロッテとの物語である。